懲戒には、就業規則上の根拠が必要ー新型コロナウイルス関係での注意ー力士の処分で考える点。
- morinohito.org
- 2020年8月7日
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更新日:2020年8月11日
懲戒の内容を適切に決めているのかどうかなのですが、3場所休場、50%の減給を5ヶ月も継続する場合は就業規則に根拠がなければならないと思います。もちろん、力士が労働者なのかどうかということはありますが
労働基準法
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
力士にも憲法上の権利は保障されていますし、その特別法が全く該当しないとは考えにくところ、そのあたりはどうなっているのか疑問が残ります。
市民はスポーツを観戦するただの群衆に過ぎません。ただ、同じ市民として選手を見なければならない場合があると思いますし、特別のものではないー幻想を持ってはいけない、力士と選手の区別は処分においては、限りなく同一のカテゴリーに属すると思いますが、同一ではないと思っていることに何も感じない自分に疑問を持つべきです。また、組織は、一般の個人のなにが、狭くはスポーツ選手のどのような権利が守られるべきかを本来の人権の意識に戻って判断して欲しいと感じます。
今回のように基準の明確性がなければ、恣意性だけが際立ちます。また、組織は厳しい処罰によって組織自身が守られるかもしれませんが、広い意味で、社会の権利一般をかなり損ねている場合もあることを意識して考えなければなりません。
また、市民=弱い立場の人間の権利は、処分を対岸のこと、その処分は当然のことと感じている間に、間接、直接的に自身の立場を弱められていくのではないかと思います。市民としても注意が必要です。
処分の厳しさ自体は、社会に対して皮下注射のようなインパクトを生じることがあることを処分権限者は理解していないといけません。
社会的な影響、個人の問題意識の欠如など問題化すればきりはありませんが、問題化すること処罰することに力を注いではならないと感じます。組織が組織のためだけの行動に出てしまうことは簡単ですが、個人の権利を守れることも示すことも、今後の人材確保のためには重要なことだということを経営として意識することが必要だと思います。恐怖によって組織を守ることは限界があることを理解しなければなりません。
また、成熟した組織として市民に認められたいのであれば、風評被害からしっかりと力士を守ってやれるー個人の人権を尊重することが評価のひとつなのだと考えるべきだと思います。今後市民は、そのあり方に注目していかなければならないと感じています。

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